イギリスEU離脱問題から見るロックイン戦略とその対処法

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「ロックイン」という言葉を知っているでしょうか。

コーチングでは、「ロックオン・ロックアウトの法則」が有名ですが、今回は「ロックイン」について書いていきたいと思います。

イギリスの欧州連合離脱(ブレグジット)の問題から「ロックイン」「スイッチングコスト」をテーマに見ていきます。

イギリスのEU離脱の本当の意味とは

ニュースなどでも、イギリスのEU離脱によるデメリットの面が騒がれています。

当然、ブリグジット後の英国はEU加盟国の特権を失います。
しかし、これはイギリスにとって大した問題ではありません。

イギリス以外のアメリカ、中国、日本などと同じようにEUと取引を行うということです。

ただ、それだけのことです。

イギリスがEU加盟国であることの経済的デメリット

そもそも、イギリスのGDPに占めるEU向けの輸出は15%程度で、イギリスの対EU向けの貿易収支は赤字です。
EU市場の貿易の恩恵はイギリスにとって、それほどあったわけではありません。

EU加盟の1973年から40年間で欧州14カ国向けのシェアは2%低下しています。これは、EUに加盟したほうが輸出が減っているということです。

また、2008年から実質賃金が8%低下しています。これは、低賃金労働者が移民として流入し続けたためです。

2015年4月~2016年3月にかけての流入移民は33万人になっています。EUに加盟している以上、移民の制限する権限がないからです。実質賃金の低下は止められないのです。

ブレグジットが可能となり、移民の制限が可能となれば実質賃金の低下は緩和されることになるでしょう。

イギリスの労働者はブレグジットにより恩恵を受けることができます。

ブレグジットはイギリスに民主主義を取り戻すこと

経済だけの話ではありません。

EUの加盟国はEUの意思決定に服さなければなりません。

税制を含めた政策面でEU議会のいいなりとなり、毎年約2兆円の拠出金を巻き上げられます。
なお、EUの意思決定は各国の有権者による選挙の洗礼を受けていない欧州委員会や各国の指導者によってなされます。EUの意思決定に「民主的正当性がない」ということです。

EUの決定は加盟国の民主的な意思決定を制限し、国民主権の一部を剥奪しさえするものなのです。つまり、EUのしくみ自体が反民主主義的なしくみなのです。

イギリスがブレグジットによってEUから離脱することの意味は、経済的メリットだけではなくイギリスは民主主義を取り戻すことでもあります。

こういったことを踏まえると、国民投票においてEU離脱が選択された事自体は、当然とも言えます。

EU離脱までの過程の絶望さ

EU離脱によるメリットが明らかになればブレグジットは他のEU加盟国でも「離脱したほうがいいのでは?」という動きを加速させる可能性すらあります。
(実際、親EU派はブレグジットによる連鎖的に離脱が広がることを懸念しています)

しかし、簡単にはモノゴトは運びません。

問題は「離脱後、イギリスがよくなるか」という議論ではありません。離脱までの過程」が大変だということです。
2019年3月29日までにイギリスはEUから離脱しなければなりませんが、離脱の条件についてEUと合意する必要があります。

これに失敗してしまうと、「合意なしの離脱」を余儀なくされます。
「合意なしの離脱」をするとしても、イギリス政府の準備が完了していません。

EUと合意できたとしましょう。イギリス議会において、EUとの合意内容を批准し、英国法に直し、法制化を進めるとともに、膨大な数の関連法令を整備する必要があります。

仮にこれらの作業をすべて成し遂げたとして、さらにイギリスは2020年12月までの移行期間中に、EUとの関係を決める新たな通商協定に合意し批准しなければならなりません。

これには、明らかに時間が足りません。

ブレグジットをしたものの、圧倒的な準備不足で、法的空白状態で何も決まらない状態がつ続く可能性が高いでしょう。そうすると、企業・消費者は混乱し、経済的打撃を受けることになってしまいます。

EUという枠組み

ここまで見ると、イギリスががEUに加盟していないことはイギリスにとってさしたる問題ではないことが分かります。 EU離脱によって経済的、政治的恩恵をもたらすので、イギリスのEU離脱は正しい選択だと思います。
しかし、EU離脱のための作業が多大な手続き上のコストを必要として様々なリスクを伴うのです。

これは、 EUに関する重大な問題を提起しています。

「労働者が被る不利益を是正するだけでなく、イギリスの民主主義を回復するものでもある」

ブレグジットがどうやって決まったのでしょう。それは、国民投票です。 イギリス人による民主的な意思決定によって決まったのです。

ブレグジットという民主主義の実現しようとする事により、その前にEUとの間の国際協定の締結。そして、それに関連する一連の法手続き。これらが立ちふさがって邪魔をしているのです。

そもそも、ブレグジットを決定するために国民投票という大騒ぎをし、ギリギリ離脱派が上回るという針の穴を通すような冒険しなければ、EUから離脱することすら決められませんでした。

民主主義でイギリス人たちが何かをやろうとしても、EUは、実際にはそれが難しいしくみになっているのです。
EUの枠組みによって不利益を被り不満を募らせる加盟国。あるいはその国民は少なくないでしょう。

しかし、彼らが「民主的な意思決定によってEU離脱を選択しようとすると、困難な離脱手続きがもたらす経済的不利益という多大なペナルティを覚悟しなければならない」と思わされます。 EUという枠組みにはそういうカラクリが仕掛けられていたのです。

ブレグジットし、その過程において混乱が生ずると

EU離脱などという愚かなことをするとこのようにして罰せられるのだ

という見せしめになってしまうということです。離脱のペナルティな重さも見せつけられることにより、離脱を望む他の国民の民主的意思もくじけてしまいます。「こんなに大変なら無理だ」という具合に。

さらに言えば、イギリスは通貨協定でユーロを導入していません。通貨を統合していないイギリスですらこれだけ大変であれば、通過を統合した加盟国はさらにペナルティの重さに慄いてやる気が失ってしまいます。

考えれば考えるほど、ロックインされてしまう

スマホを乗り換えようと思ったときに、新しい機種に乗り換える手間を考えたら、「このまま使おう」となる現象を、「古い機種にロックインされた」といいます。
これは、スイッチングコスト(乗り換え費用)が高いということから生まれます。時間の経過とともにロックインは強くなる傾向にあります。企業はこの戦略を使いたがります。消費者に「この製品なしには生きていけない」という状態を作り出したいのです。

話がそれましたが、現在のEUの状況は、なにか(誰か)に「ロックイン」された状態です。EU非加盟国を選択するためには高いスイッチングコストを払う必要があると思い込まされています。

・EUによって利益を得る勢力
・EUがなくては生きていけないという企業

これらにより、EUの離脱のコストは高くなり、ロックインが完成されます。考えれば考える程スイッチングコストの高さが分かるので、ますますロックインにハマってしまいます。

グローバリゼーションの進化はロックインを強めるのです。

たった一つのロジックが支配する「世界統一政府」の陰謀

では、こういったしくみは誰の手によって作られたのでしょう。

ブレグジット国民党賞直後から「世界経済危機」のキャンペーンなども含め、「世界の政治経済は一つの論理、一つの支配者が動かす」という「世界統一政府」の論理です。

  • 住民投票によってクリミア半島を取り戻したロシア叩き
  • 多国籍企業を日本政府の上に位置づける「ISD条項入りTPP」推進

まったく同じ背景です。ウォールストリートのほんの数百人の人間が、全世界のGDPの何倍もの経済を動かし、「金儲け」というたった一つのロジックが支配する「世界統一政府」を創造しています。立法、司法、行政権を蹂躙され、国家主権を奪い取られていくのです。

僕たちはどうすればいい?もう取り返しがつかないのか・・

では、民主主義を破壊しようとしている彼らに対抗する術はないのでしょうか。

『2050年 衝撃の未来予想』(TAC出版)で苫米地英人氏はこう述べます。

ゲバラになるか?新種の奴隷となるか?2050年を生きる人々は、まったく異なるふたつの道を選択しなければなりません。

資本主義による独裁は、すでに民主的なプロセスで覆すレベルを超えています。ゲリラ戦で対抗するしかないということです。

スイッチングコストの計算は、僕たちのゴール側からするのです。そこで、見えなかったものが見えてきて解決の糸口が分かります。なので、 僕たちはマインドの力を信じるのです。

そのためには、「やりたいことをやる」しかありません。資格をとってスキルアップ、ITツールを使って効率アップといった考え自体が奴隷的労働に従事させるために生み出された可能性もあるのです。

ある現象をみたとき、「言っているのはどういう人(団体)か」「その人(団体)は何のためにそれを主張するのか」を考えてみるのもいいでしょう。

オリンピックは本当にフェアかどうかも含め、価値観をドラスティックに変換する必要があります。

自分にしかできない価値を創造し、やりたいことをやる。まさに、ストレートな表現で新しい世界をつくること】が重要なのです。

 

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