ノーベル経済学の理論は『コーチングの基本』を説明してくれている

2019年3月2日

こんにちは。岩堀(Kensu)です。

「現状の外にゴールを設定しなさい」

ノーベル経済学賞の受賞理由の本質は、この「コーチングの基本ルール」を説明してくれています。どういうことでしょうか。この記事では、その理由を見ていきます。

行動経済学の根幹をなすプロスペクト理論とは?

従来の経済学の理論で対象とする人間・経済活動は、「完全で合理的な人間(常に合理的に行動する。非合理的な行動をすることは想定しない)」(ホモエコノミクス)であり、「企業や個人は、常に経済合理性に基づいて行動する」というものです。

つまり、 『経済学者が言うとおりに人間が行動することが正しい』というものです。

これは、明らかに変です。人間が経済活動をしているのであって、経済理論が人間の行動を規定しているわけではないからです。
現在、人間の認知現象を説明できない経済学は、経済学とは言えない時代になっています。

2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンは、従来の経済学の誤りを正し、行動経済学をおこしました。その中心である「プロスペクト理論」は、人間の実際の行動を説明する理論です。

実際の行動を説明するために人間の「価値」の感じ方の理論化、数値化が可能になります。

プロスペクト理論では、「利益の喜び」と「損失の痛み」で心理的な価値を説明します。つまり、満足感は富全体ではなく「利益」と「損失」で定義されるのです。ほとんどの人間が利益よりも損失を恐れる、損失回避性もこのモデルで説明できます。

幸せの基準は「変化」である

カーネマンは、現実の人間を対象としたさまざまな観察・実験を通して理論をつくりあげました(多くは、エイモス・トヴェルスキーとの共同研究)。人間がすべてにおいて合理的な判断を下すことはできないことを明らかにしたのです。

資産の絶対量が満足感を決めるのは、従来の経済学から見た基準です。しかし、人の感じ方は従来の経済学者たちのいう論理的な判断とは違います。

人間は、富全体ではなく、「いくら減ったか」「いくら増えたか」という変化で満足感が決まるのです。

幸福感は資産の量ではなく、資産の変化なのです。大金持ちの人が「もっとお金が欲しい」という理由は、量が足りないのではなく、お金の変化に興味があるということです。

ゴールが「現状の中」ではいけない理由

変化が人間の満足を起こすことを見てきました。

それでは、ゴールを現状に設定するというのはどういうことでしょうか。

「現状の中のゴール設定=現状の最適化」です。これは、いくら確率が低い現状の目標を立てても、人間の脳にとって「同じ現状」とみなします。そこには満足感はありません。

実際、今日と同じ日が明日も来ることを、ほとんどの人が安定とも幸せとも思わないでしょう。少しでもいいから上向き傾向がなければ人は満足できず、現状維持を心の平安と言える人間は極めて少ないのです。

その時の絶対的な価値はほとんど関係なく、重要なのは「上向きの変化」です。変化量は大きければ大きいほど満足感や幸福感は大きくなります。つまり、「現状とは明らかに違うもの」でなければならないのです。

まとめ:「現状の外にゴールを設定する」という基本

人間の意思決定のもとになる価値は特定の状態からの変化です。つまり、現状から離れることで発生するメリット(効用・利益)やデメリット(損失)に大きく依存するのです。

  • 人間の幸せは「変化量」であり、絶対量ではない
  • 変化量は大きい(プラスの変化)ほうが満足度が大きい

コーチングの基本である「現状の外のレベルが高ければ高いほどいい」というのは、コーチング理論が人間の心理を分かった上で作り上げたものだからです。ゴールを設定することは、ゴールに近づきます(いい方向への変化)。プラスに変化するから満足度が大きいのです。

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こういった意味で、 ノーベル経済学の理論は「ゴールを現状の外に設定する」というコーチングの基本を説明してくれているものなのです。

   

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